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薄​灯​る​ト​ン​ネ​ル usudomoru tunnel

by 波灯 Hatou

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about

Written by 大野円雅 Oono Madoka
Composed by 高良真剣 Takara Mahaya

lyrics

手術台の上から 無意識の海へと投げ込まれた
その時 私の指はもう ポケットにすら届かなかった
海の中を駆け抜けていく トンネルの響き
耳許で 通り過ぎていった



三日前 桟橋の上で
氷海の底から 蛸が ゆっくりと浮かび上がるのを見た
朝日の下で、水面は微かな揺らぎの度に
その両手に抱えきれないほどの光を
束ねては返していた
浮かび上がる蛸は その水にくるまれて
透き通る薔薇にも見えた

それは切除される予定の 私の器官だった
粗雑な医者のメスのせいで 片目はつぶれていて
残った片目で 私と目が合う
蛸は 私の虹彩の淵に目を留めると、ふと笑って
それから 事切れたように
海底へと沈んでいった

氷海の底は 森羅万象 ありとあらゆるものたちの
記憶の澱とつながっている
その水に浸りにいったのだろう
片目の傷を癒すために



喉、という薔薇色のトンネルの中を
言葉が 音速で駆け上がる時
扁桃腺がなくなったあとの 伽藍とした空間に
声が 響きなれない音で 響く
けれど 外へ出たら もう振り返らない

撹拌された記憶の底に漂うものを
その文字の形に絡めとりながらも
どこか 澄んだ水を 井戸から引き上げるようにも

父音によっては 起き抜けの響きをかぶり
後ろ髪を引かれながらも でもどれも
ここから 目を醒まそうとする
点在する どの言葉も全て まどろむ闇を照らすもの
身体の内に潜伏する 薄灯の集積
つなげれば 束ねれば いつでも光足り得るもの

次の大陸、次の場面、次のひと波でさえ
その瞬間が こわいのなら、
目を閉じて 数を数えていよう
1、2、3

トンネルの外はまだ、海
次の言葉を 思う時

credits

released December 15, 2020
Oono Madoka : Reading
Takara Mahaya : Electric Kalimba, Samples
Taro (Gecko&Tokage Parade) : Electric Guitar

Recorded & Mixed by Takara Mahaya
Mastered by Suzuki Mitsugu(Cellzcellar)

Photo by comuramai

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